ダンス界の先駆者“シッキン”が語る振付の潮流 三浦大知との「特別な」出会いも
ダンス界のパイオニア、シッキンことs**tkingz(左から)NOPPO、Oguri、shoji、kazuki(C)ORICONNewSinc.結成10周年を迎えた昨年、三浦大知のバックダンサーとしてフジテレビ系『めちゃ×2イケてるッ!』特番に出演、大みそかのNHK紅白歌合戦では無音シンクロダンスを披露するなど存在感を発揮した4人組ダンスパフォーマンスチーム“シッキン”ことs**tkingz。
人気アーティストの振付師としても活躍するダンス界のパイオニアに、チームの方向性に影響を与えた出会いや振付の潮流、9月に開幕する2年ぶりとなる新作公演についても聞いた。
◆ジャニーズ、東方神起、AAAら振付は160曲以上――いまや三浦大知さんのMVやライブには欠かせない存在ですが、振付師としてs**tkingzを知っている方や知らず知らずのうちに作品に触れている方も多いと思います。
これまで160曲以上の振り付けを担当し、ジャニーズ勢、東方神起やEXO、AAA、w-inds.、超特急などなど、枚挙にいとまがないほど人気アーティストを手がけていますが、振付を始めたきっかけは?【shoji】それぞれバックダンサーをしていたつながりで、2007年に結成して間もない08~09年頃から個人個人では振付をしてはいたんですが、s**tkingzとしてはどうだったっけ?【Oguri】2010年のBoAちゃんのクリスマスライブが最初かな。
そのライブの前にKazukiがダンサーとして入っていて、その後で俺も参加して、NOPPOが振付として入っていたツアーがあったんです。
そのときに演出の方から「次のクリスマスライブはシッキンに振付として入ってほしい」と言ってもらえて。
そのライブ自体がちょっとミュージカル風というかストーリー仕立てだったので、シッキンとしてもやりたかった世界観でした。
【shoji】振付をやろうと思って始めたというよりは、自分たちの活動をYouTubeで観て「シッキンに振付をお願いしたい」と言ってくださる方の依頼をお受けしてきた感じですね。
特にK-POPのアーティストは研修生の頃、s**tkingzが海外ツアーを回ったときのレッスンの振りをYouTubeで観て練習していたそうで、いつかデビューしたときにこの人たちに振付をしてもらいたいと思っていたと言ってくださることがけっこうありました。
【NOPPO】シッキンの振付には色があるというか、コミカルだったり、変則的なこともできるので、動画を見て「こういう振付と似たようなのを」と頼まれたりもします。
【kazuki】個人的にはもともと振付が大好きなので一生やりたいと思っていたんですけど、チームとして依頼されることがあるとは思わなかったです。
クラブでパフォーマンスしていたストリートダンスチームに対してアーティストがオファーするというのは新鮮だったかもしれないですね。
――ジャニーズのグループ(V6、Hey!Say!JUMP、関ジャニ∞、Kis-My-Ft2、SexyZone)の振付も多く手がけています。
【NOPPO】僕が別の方との合作でV6の振付をさせてもらったのが最初でした。
【shoji】各グループのダンス好きなメンバーは、常に新しい振付を作りそうな人たちいないかなとYouTubeなどでチェックされていて、「この人がいい」と勧められるという話をスタッフさんから聞きました。
ジャニーズの皆さんは「こういうことをしたらファンは喜んでくれる」「こういうことをファンは求めている」ということをものすごく理解されていて、ファンの方に喜んでもらうために「こういう要素を足してほしい」とか、常にファン目線なんです。
それと、とにかく皆さん、振りを覚えるのがめちゃめちゃ早い。
トップアイドルってすごいなとつくづく思います。
――AAAはグループのみならず、Nissyと有村架純さんの“ピンキーダンス”で話題となった「まだ君は知らない」(2600万再生超、kazuki振付)などソロ活動の振付もかなりの数を担当されています。
【kazuki】AAAはメンバーそれぞれが長いこと振付をやらせてもらっているんですが、実はシッキン全員で振り付けたことはないんです。
楽曲や求めているパフォーマンスによって合う人にお願いしてくれている気はするんですが、自分に何を求められているか実はよくわからないんですよね。
AAAくらいかもしれないです、わからないのは。
【shoji】僕以外の3人はAAAのメンバーと世代が近いんだよね。
【Oguri】日高(光啓/SKY-HI)とは大学の同級生なんです。
【kazuki】同い年のNissyのソロライブの演出もやってます。
【NOPPO】同い年の(末吉)秀太のソロライブの演出や振り付けを担当しています。
【shoji】本当にAAAはいろんな楽曲をお願いしてくれるイメージがあります。
シッキンの誰か空いてませんかとお願いされることもある。
【NOPPO】誰でもいいんかーい(笑)【shoji】そこはある意味信頼されているなと思っていて。
この4人だったら誰が作ってもいいと思ってもらえてるんだろうなと。
――それぞれ得意なパターンは?【kazuki】すごく目まぐるしい構成とか、アシンメトリーな構成はOguriが得意です。
【shoji】Oguriはストーリーものっぽい、流れがあるものも得意。
AAAの秀太の話だと、緩急のあるびっくりするような振付が欲しいときはNOPPO。
緩急というワードはNOPPOに振付をオファーされる方たちからよく耳にします。
セクシーなものを求めているときはkazuki。
キャッチーなものも得意です。
僕は激しめな曲で激しい振り付けを依頼されることが多いです。
だいたいリハーサルの時点でみんなぜーぜーしています(笑)――最近は特にダンスを売りにしたMVが多いですが、振付を始めた頃とはオファーの内容に違いはありますか?【kazuki】全然違いますね。
振付を始めた頃は“○○ダンス”みたいなものを求められることはありませんでしたが、今は9割くらい求められている気がします。
メディアに出るときにはネーミングが大事だったりするので、それに頭を抱えることはあります。
○○ダンスって名前をつけたいんだよねって言われると、名前をつけるには変則的すぎて、だったらもっとわかりやすく同じ動きを何回もやったほうがよかったかなと思うことはあります。
でもそうするとその曲のかっこよさを表現しきれないこともあって。
【shoji】傾向で言うと、4人で韓国のアーティストの振付をし始めたころは、ネクタイダンスとかヒップダンスとか“○○ダンス”と付くのが多くて、実際に「すごくキャッチーなものを」とか「○○ダンスと名前が付くものを」という依頼が多かったんです。
そのころ日本ではそういう要望はなかったんですが、韓国の○○ダンスがブームになると、日本でも同様の依頼が増え、逆に今、韓国ではそういうキャッチーさを求められなくなりました。
「誰にも真似できないような難しいものでいいから、とにかくかっこいいものを」といった依頼が多くなってきたので、日本も今後、流れが変わってきたりするのかなと思ったりもします。
◆やっぱり三浦大知くんとの出会いは特別だった――振付、バックダンサー、ワークショップにと引っ張りだこで、自身の公演に向けても大忙しですが、s**tkingzというチームに一番影響を与えた出会いは?【shoji】やっぱり三浦大知くんとの出会いは特別だったなと思います。
僕たちが結成したのと、大知くんが自分で振り付けをして頑張っていこうという時期が近かったんです。
それで、大知くんの「InsideYourHead」(08年7月発売)のMVにNOPPOが参加したのがきっかけでイベントに4人で出させてもらうようになって。
同じ世代にあんなにすごい才能を持った人が新しいエンターテインメントをやろうとしていることを身近で感じることができて、すごくいい刺激をもらってきました。
【一同】そうだね。
【kazuki】舞台をやるきっかけは、アヤ(竹内亜矢子)さんの言葉だったよね。
シッキンとして振付をやるきっかけになったBoAのライブで演出されていた方なんですけど、「s**tkingzは舞台をやったら面白そうじゃない?」って言われて、全く考えていなかったのではじめは全然ピンとこなかったんです。
でも、そこから意識するようになって作品作りも変わったし、実際に舞台をやることにもなったので、その言葉はめちゃくちゃ大きかったですね。
【Oguri】うん。
本当にいろんな方といいタイミングで出会ってきましたね。
――それが2013年4月の初公演『THISSHOWISs**t』につながるんですね。
【shoji】当初は「舞台って何やるの?」みたいなところから入ったんですよ。
4人だけで舞台をやるとなったらどんなふうになるんだろう…しゃべらないでダンスだけでストーリーを伝えていくにはどんなことをしたら面白いだろう…と話し合って。
初の単独公演では今までクラブでやっていた5分くらいのショーを再演したり、舞台用に新しく作品を作ったりして、カフェやバーをテーマにしたオムニバス形式の舞台に挑戦しました。
実験というか探り探りだったんですけど、いまだにこの中の作品が好きと言ってくださる方がけっこういらっしゃるんです。
【kazuki】舞台をやって、作品の幅がめちゃめちゃ広がったよね。
舞台経験のおかげでただ踊るだけじゃないものをたくさん作ってこれた気がする。
【shoji】次の『WEEKDAYPLAYDAY』(14年11月)では全体が統一されたストーリーで展開されていき、その次の『WonderfulClunker-素晴らしきポンコツ-』(16年9月)はストーリーを『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリさんに書いていただいて、初めて自分たち以外の方が考えたものをしゃべらずに表現することに挑戦しました。
◆新作舞台は“360度”の苦悩――それを踏まえて、2年ぶりの新作公演『TheLibrary』(9月12日~11月23日、7都市全29公演)が2ヶ月後に迫っていますが、図書館をテーマにした意図は?【shoji】話の中で自然に決まったんですが、図書館は過去から現在に至るまでの人物や歴史、作品、知識などが詰まっていて、そこに来た人たちがいろいろなものを吸収できる場所だなと思って。
『TheLibrary』という舞台にs**tkingz10周年の歴史がいろいろ詰まっていて、4人で1冊の本を書くような、新しい本を積み重ねていくような、10周年にふさわしいテーマになったらいいなと思っています。
――新作公演で新たにチャレンジしていることやアピールポイントは?【Oguri】序盤の横浜赤レンガ倉庫(12公演)はシッキン初のセンターステージで、お客さんに360度囲まれてステージなので、まずはそこが大きなチャレンジになります。
その後、地方公演と東京公演は通常の劇場型にステージ構成が戻ってバージョンチェンジするので、毎回観るたびに違いがあって面白いことになったらいいなと思っています。
今回は改めてストーリーを自分たちで考えるスタイルなんですが、既になかなか煮詰まっています(笑)【kazuki】360度の苦悩ね。
【NOPPO】“無言芝居”なんですが、誰にでもわかりやすく、しかも本当にクオリティーが高いステージを目指しています。
それと、最近シッキンで高校生を対象としたワークショップも回らせていただいているので、18歳以下のチケット代を少し安くして3500円にしました。
高校生からすると舞台は少し敷居が高いイメージだと思うので、若い子たちにも舞台の楽しさを知ってもらえる入口、きっかけになれたらいいなと思います。
【kazuki】舞台では普段は見られないパフォーマンスがいっぱい詰まっていると思います。
お笑い的な要素やカッコ悪い部分をお見せする機会がなかなかないので存分に楽しんでいただけたら。
コメディーの要素も毎回しっかり入れてあって、いっぱい練習して本番ですべらないように努力をしているので、かっこいい+ギャップを楽しんでもらえたらと思います。
――今後の挑戦として、歌って踊ってのダンス&ボーカルグループになることは?【shoji】それはないですね(笑)。
Oguriをひたすら止めてます(笑)■s**tkingz(シットキングス)プロフィール2007年10月に結成し、翌08年にマライア・キャリーのバックダンサーとしてMTVのVMAJに出演。
10・11年に米コンテスト『BODYROCK』で2年連続優勝し、世界を舞台に活動する。
9月に開幕する2年ぶりの新作公演『TheLibrary』は過去最大規模の7都市で全29公演で、チケット一般発売中。
◇shoji(リーダー)/1984年10月20日生まれ(33歳)【主な振付・出演】AAA、Da-iCEの振付・ライブステージング/ケンタッキーフライドチキンTVCM振付/広島県呉市のPRムービー振付◇kazuki/1986年9月24日生まれ(31歳)【主な振付・出演】AAAの振付、Nissyのソロライブ演出/SMAP、V6、東方神起の振付/住宅情報館のTVCM(出演くりぃむしちゅー、橋本環奈、lol)振付◇NOPPO/1986年8月19日生まれ(31歳)【主な振付・出演】菅原小春とBOSEのWebCM出演/名刺交換アプリPiQyのWebCM出演/ShutaSueyoshi(AAA)のソロイベント演出・振付◇Oguri/1987年1月6日生まれ(31歳)【主な振付・出演】錦織一清(少年隊)演出ミュージカル『JAMTOWN』出演/森永製菓『おっとっと』35周年プロジェクトで村上信五出演PV振付この記事もおすすめ「趣味の喫茶店を経営する店長に「どのくらいもうかるの?」と聞いてみた」>>この記事が気に入ったら、こちらもチェック!今ならなんと初回20%off!「子ども服」をおトクに手に入れるには?定価で買うにはちょっと手がでないブランド服から普段着まで! いろいろ揃ってます。
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