干物の上手な焼き方を徹底レクチャー!調理器具ごとの焼き方のコツも
魚介類を干してつくられる干物は、栄養価が高く日持ちもする優秀な食材です。
干物は焼くだけで調理が完了するため簡単なイメージがありますが、実は焼き方にコツがあることをご存じですか?干物の旨味をグッと引き出す焼き方をマスターすれば、お家でもお店で食べるようなふっくらとしたおいしい干物を食べることができます。
魚焼きグリルだけではなく、フライパンやオーブンを使った焼き方もあわせてご紹介しますので、ぜひ最後までご覧くださいね。
目次 [開く][閉じる]■干物の基礎知識!おいしい焼き方は?■干物の焼き方のポイントは?■グリルでの干物の焼き方■フライパンでの干物の焼き方■オーブンでの干物の焼き方■焼く以外にも!その他の干物の食べ方■上手な焼き方をマスターして干物をおいしく食べよう■干物の基礎知識!おいしい焼き方は?・干物とは干物とは、食材を乾燥させることによって作られる加工食品のことです。
乾燥させる食べ物には野菜や魚介類、肉や果物とさまざまなものがありますが、一般的に「干物」といえば魚介類のことを指します。
魚介類を天日干しまたは人口乾燥によって乾燥させることで、うま味が凝縮されて保存性も高くなります。
昔は保存技術が現代のように発達していなかったため、干物にして長期間食べられるようにしていたのです。
・干物の主な種類干物と一口にいってもさまざまな種類があり、それぞれ製法が異なります。
製法によって保存期間や味わいが変わるのも、干物の特徴です。
こちらでは干物の主な種類についてご紹介していきます。
天日干し天日干しとは、食材を直接太陽にあてて干す方法のことです。
その名の通り、日光に当てることで食材の水分を飛ばしてアミノ酸を増やします。
アミノ酸はうま味の一種なので、天日干しにした干物はうま味が強いともいわれています。
素干し素干しは風にさらして干すやり方で、昔ながらの干し方です。
食感が固めに仕上がる特徴があり、スルメやホタルイカなどの干物を作るのに適しています。
煮干し煮干しとは、一度塩水などで煮てから干す方法です。
この方法はまず煮てからうま味を出して、それから干します。
煮干しの種類はたくさんありますが、かたくちいわしの煮干しが最も有名です。
丸干し©https://www.photo-ac.com/丸干しとは、魚を開かずに丸のままの状態で風や日光にさらして干す製法のことをいいます。
イワシやサンマなどの小さめの魚が向いています。
身を開かず丸のまま干すため、魚の脂を強く感じられるといった味の特徴もあります。
昔からある製法で、中でも目刺(めざし)は丸干しの製法で作られた代表的な食べ物といえるでしょう。
開き干し開き干しとは、魚の内臓を取り出して腹側もしくは背側から開き、塩水につけた後に干す製法のことをいいます。
サンマやアジ、カマス、鯛やほっけ、サバ、フグなどの魚で干物を作る際によく用いられます。
スーパーや道の駅といった、物産館でよく見られる干物はこのタイプが多いですね。
塩干し魚などを塩に漬けてから乾かす作り方を、塩干しといいます。
塩干しには内臓が入ったままの丸干しと、内臓を出してから干す開き干しがあります。
アジやししゃもなどでよく使われる製法です。
塩干には塩水に漬ける方法と、魚に直接塩をまぶす方法があります。
塩水に漬けたものは味が均一になるのが特徴で、塩を直接まぶしたものは保存性に優れているといった特徴があります。
寒風干し(かんぷうぼし)寒風干しとは、魚を塩漬けにした後、程よく塩気を抜いてから潮風にさらして干す作り方のことをいいます。
鮭やさんまなどを使って作られることが多いです。
灰干し(はいぼし)灰干しは、紙などにつつんでから火山灰をかけて食材の水分を飛ばす方法です。
じっくりと時間をかけて水分を飛ばすため、食材本来の味からの変化が少ないことが特徴です。
熟成していくことでうま味も強く出ますが、手間がかかるため最近ではあまり見られなくなりました。
わかめやアジでよく使われる製法です。
凍干し(こおりぼし)凍干しとは魚を凍らせてから解凍する、を繰り返すことでできる作り方です。
凍らせた後に解凍すると水分が出ますよね。
その水分を何度も取り除いて、食材を乾燥させるというやり方です。
これは寒天を作るときと同じ製法で、スケトウダラなどでよく使われています。
・干物は冷凍保存がおすすめ干物は生魚よりも保存がききます。
しかし、冷蔵で保存している期間が長いと、うまみの元である脂が酸化して味が落ちてしまいます。
もし干物を買ってすぐに食べられない場合には、冷凍保存がおすすめです。
保存期間の目安冷蔵…およそ2週間冷凍…およそ1ヶ月干物も鮮度が高い方がおいしいです。
保存方法に気をつければ、作りたての干物と同じような味を保つことができますよ。
冷蔵、冷凍のどちらで保存する際にも、空気に触れないようフリーザーバッグのような密閉できるものに入れ、魚の脂の酸化を遅らせるようにしましょう。
・干物はグリル以外でも焼ける?干物は魚焼きグリル以外でも焼けます。
お住まいの物件によっては、焼き魚を魚焼きグリルで調理することを禁止しているところもあるようです。
禁止はされていないけれど、煙が出たり部屋ににおいが充満したりするのが嫌だ、という人もいるかもしれません。
そのような場合には、フライパンやオーブンでもおいしく干物が焼けます。
詳しい方法は後述しますが、オーブンシートやアルミホイルを使えば洗い物の手間も減ります。
オーブンのグリル機能を使うのであれば、放っておくだけで焼きあがるといったメリットもありますよね。
グリルならではの直火のおいしさも捨てがたいですが、便利な調理器具を使えば、焼き魚のハードルがぐっと下がりますよ。
■干物の焼き方のポイントは?干物は焼くだけでつくれますが、せっかくであればおいしく食べたいですよね。
うま味がつまった、ふっくらとした身に仕上げるためのコツをご紹介します。
・冷凍干物は凍ったまま焼く冷凍干物は解凍せずに、そのまま焼くとおいしさが逃げません。
冷凍されている食材を調理する際は、何かしらの方法で解凍処理をすることが多いですが、干物の場合は凍ったまま焼くのがベストです。
これは解凍するときにうま味を逃さないためと、凍っている水分に身をふっくらとさせるはたらきがあるためです。
解凍してから焼くとうま味が減って、身がパサパサになってしまうこともあるので、冷凍した干物はそのまま焼くようにしましょう。
・解凍した干物は水気を拭き取る「短時間で焼き上げたい」などの理由で解凍した場合は、干物についた水分をキッチンペーパーなどで拭き取ってから焼きましょう。
干物の表面に水分がついたまま焼くと、魚のうま味が外へ逃げ出しておいしさが半減してしまいます。
また、解凍しすぎるとうま味が外へ出てしまうことから、おすすめは半解凍の状態で焼くことです。
冷凍状態の干物は冷蔵庫で4時間ほど、常温であれば2時間ほど置いておけば半解凍に近い状態になります。
その際に、水分がついているようであれば拭き取ってから調理しましょう。
・調理器具をよく熱しておく©https://pixabay.com/ja/干物を焼くときの悩みといえば、調理器具に皮などがくっついて洗い物が大変になってしまうことですよね。
そのようなことを避けるためにも、フライパンや焼き網などはしっかり熱してから使うようにしましょう。
しっかり熱することで、魚の皮がくっついてはがれることを防げます。
皮がはがれると身もボロボロとくずれてしまいますよね。
調理器具をしっかり熱しておけば、干物の身を崩さずにおいしく仕上げることができますよ。
■グリルでの干物の焼き方干物の焼き方の定番といえば、魚焼きグリルで焼く方法です。
ただ焼くだけではなく手順をしっかり踏んでコツを掴めば、よりおいしい干物に仕上がりますよ。
・1グリルに油を塗って予熱する魚の皮がはがれて身がくずれないようにするため、グリルの網に油を塗ってしっかり熱します。
・2皮面を下にして焼く皮を下にして、身に火があたるように魚を置きます。
皮から先に火があたると、身が縮んで反ってしまい、焼き上がりがうまくいかないことがあります。
見た目もきれいに焼き上げるためにも、先に身側を焼きましょう。
・3裏返して焼き色がつくまで待つ身側に焼き色がついてきたら、皮側を上にして焼き上げます。
両面焼きグリルの場合は魚をひっくり返す必要はありません。
下側の火力を上側よりやや弱めにして焼くと、焦げにくくおいしく仕上がります。
・グリルで焼く時のコツ©https://pixabay.com/ja/グリルの中央に魚を置かない中火で一気に焼き上げる何度もひっくり返さないグリルで焼くときのコツは、この3つが重要なポイントです。
魚焼きグリルは網の両端に沿って火が通っています。
中火で一気に焼き上げることで、ふっくらとした焼き加減にすることができますが、中央部に置いてしまうと熱が効率よく魚へ伝わりません。
どちらかの端に寄せるように魚を置いて、一気に焼き上げることが重要です。
一気に焼き上げるのであれば強火がよいのでは?と思うかもしれませんが、強火は表面が焦げるばかりで、中まで火が通らない恐れがあります。
焦がさず身をふっくら仕上げるためにも、中火でしっかり焼きましょう。
また、何度もひっくり返すと身がボロボロとくずれてしまいます。
ちょうどよい焼き加減にできても、身がくずれてしまうと見た目が悪くなってしまいますよね。
何度もひっくり返すことはやめて、片面に1回ずつ火を通すように心がけましょう。
■フライパンでの干物の焼き方©https://unsplash.com/魚焼きグリルは後片付けが大変ですが、フライパンであれば洗い物も少なくて済みます。
さらにフライパンとクッキングシートの合わせ技で、片付けが格段に楽になりますよ。
・1フライパンを予熱するフライパンに何も乗せずに中火で熱します。
魚を焼くときに、まんべんなく熱を伝えるための重要なポイントです。
・2フライパンが温まったらクッキングシートを敷くフライパンが温まったらクッキングシートを敷きます。
フライパンからはみ出ないくらいの大きさに切るようにしましょう。
このときの火加減も中火です。
強火にすると魚が焦げてしまったり、クッキングシートに火が移ったりすることもありますので、気をつけてくださいね。
・3皮を下にして焼くフライパンの場合は先に皮側から焼きます。
皮に焼き色がついたらひっくり返します。
・4裏返して焼き色がつくまで待つ身側に焼き色がつくまでそのまま待ちます。
身が厚くて火が通りにくいものや、少し身が反ってしまったようなものは、フライ返しなどで上から軽く押さえて火を通すようにしましょう。
身側に焼き色がついたらでき上がりです。
・フライパンで焼く時のコツフライパンで焼く際には、クッキングシートやフライパン専用のアルミホイルを使えば、魚がくっつかずに焼けて洗い物も減らせます。
このときに気をつけたいのは、アルミホイルの種類です。
フライパン専用のアルミホイルでない場合は、そのまま魚をのせるとくっついてしまうことがあります。
魚がくっつかないようにするためには、フライパン専用のアルミホイルを使うか一度クシャクシャにしたアルミホイルを伸ばして、油を塗ってから魚をのせましょう。
■オーブンでの干物の焼き方オーブンで干物を焼くメリットは、火の心配がないことです。
温度と時間を設定してそのまま放置すればでき上がるので、空いた時間で洗い物をしたり別のおかずを作ったりと時間を有効活用できます。
・1180度で予熱するオーブンの庫内を180度に余熱します。
余熱することで庫内の温度を均一にして、火の通りのムラをなくします。
・2皮を下にして焼くオーブンの天板にクッキングシートを敷き、皮を下にして10~15分加熱します。
・3裏返して焼き色がつくまで待つ一度オーブンを開けてひっくり返してから、焼き色がつくまで加熱します。
魚の大きさやオーブンの性能にもよりますが、だいたい5~10分くらいです。
・4そのまま数分置いておく焼き色がついたら取り出さずに、そのまま数分置いておきます。
加熱していないので放置しても焦げる心配がなく、余熱を使って中までしっかり火を通せます。
・オーブンで焼く時のコツオーブンを使って焼くときの重要なポイントは、最初の余熱です。
余熱を行うことで、身から水分が出るのを防いでジューシーな焼き魚に仕上がります。
焼き上がりのパサつきが心配なときは、事前に魚の表面に油を塗っておくと水分が逃げにくくなります。
オーブン調理は機種やメーカーによっても焼き上がりに差が出ますので、まずは取扱説明書などを確認して、初めは様子を見ながら焼いていきましょう。
オーブンのクセが分かってきたら、自分好みに時間や温度の調整をしてみてくださいね。
■焼く以外にも!その他の干物の食べ方干物といえば焼き魚が定番ですが、他にもおいしい食べ方はあります。
焼き魚ばかりで飽きてしまった…という方は、今回ご紹介する調理方法を試してみてはいかがでしょうか。
もしかすると、干物の新たなおいしさに気づけるかもしれませんよ。
・揚げ物にする干物に片栗粉をまぶし、じっくり揚げれば骨まで食べられます。
開きになっている干物であれば、塩味がすでについているものも多いため、下味なども必要ありません。
干物を揚げるときには冷凍ではなく、解凍したものを使いましょう。
凍ったままの状態だと油の温度が急に下がってしまったり、水分が油跳ねの原因になったりします。
冷凍してあるものは、一度解凍してから水分を拭き取って揚げるようにしてくださいね。
・甘酢に漬ける干物のマリネのようなイメージです。
焼いた干物、もしくは揚げた干物を甘酢に漬けるだけで完成です。
甘酢の調味液に玉ねぎや人参などを加えれば、野菜の栄養もとれますし彩りもよくなります。
甘酢につけるときのコツは、干物が熱いうちに漬けること。
熱いうちに漬けることで味がよくしみこみ、酢の角も取れてまろやかになります。
冷めてからもおいしいおかずなので、お弁当などに入れることもできますよ。
■上手な焼き方をマスターして干物をおいしく食べよう干物は日本の伝統的な保存食です。
干物というと、魚焼きグリルでの調理が一般的ですが、フライパンやオーブンを使ってもおいしく焼くことができます。
上手な焼き方をマスターできれば、お家でもお店で食べるようなおいしい干物が味わえますね。
また干物にも種類があり、製法や味わいも違ってきます。
いろいろな種類の干物を試してみたり、たまには違う調理法で食べてみるのも良いかもしれません。
その際には、ぜひこちらの記事でご紹介した内容も参考にしてみてくださいね。
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