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豚ヒレの香草パン粉焼き ハニーマスタードソース【ソムリエが教えるワインと簡単リッチ飯vol.5】

目次 [開く][閉じる]「焼き加減はいかがなさいますか?」■豚ヒレの香草パン粉焼き ハニーマスタードソース【下準備】ガルニチュール・ブルギニヨン(付け合せ)とジャガイモ【下準備】豚ヒレの香草パン粉焼き【作り方】ハニーマスタードソース【作り方】豚ヒレの香草パン粉焼き【作り方】ガルニチュール・ブルギニヨンとジャガイモ■「食べる」ということ。

■家メシを「特別な夜の一皿」に変える1本「焼き加減はいかがなさいますか?」キュイソン(火の入れ具合)の話。

フレンチではお肉の焼き方でも呼び名が違います。

英語圏では「レア」「ミディアム」「ウェルダン」となりますが、フレンチでは「bleu(ブル)超レア」「saignant(セニャン)レア」「àpoint(ア・ポワン)ミディアム」「biencuit(ビアン・キュイ)ウェルダン」と言います。

「saignant(セニャン)レア」はフランス語で「血液」を意味するsang(サン)の語源から来ています。

「血の滴る」的な表現のようです。

まさにレアの状態ですね。

「bleu(ブル)超レア」はフランス語の「青」の意味ですが、よく見ると英語の「blue」とはスペルが違います。

とても似ているので間違えがちです。

今日の話には全く関係ありませんが、前職のギャマングループが宮古島に「GrandBleuGamin(グラン・ブルー・ギャマン)」というラグジュアリーなプライベートヴィラを昨年に立ち上げましたので検索してみてください。

完成前に何度か現地に行きましたが、とても素敵なロケーションです。

都内の本店フレンチ「AuGamindeTokio(オー・ギャマン・ド・トキオ)」が宮古島で味わえる、とても贅沢な空間です。

「よく出来ました!」に喜ばないワケさてさて、話を戻すと「bleu(ブル)」はなんの意味でしょうか。

その状態の時に青く見えるとか見えないとか。

そんな光景は見たことはありませんが。

語源をたどると「雷」という意味があるそうで、一瞬で外側だけをカリッと焼き、中は生の状態で仕上げる、その焼き方がそう呼ばれたとか、呼ばれないとか。

またまた料理における「定義の沼」ですね。

正解のないロマンです。

私はsaignant(セニャン)くらいが好きなのですが、改めて文字を見ると表現として面白いのは英語でもフランス語でも「堅焼き」の表現です。

英語であれば「well-done」なのですが「well-良く」と「do」の過去分詞系「done-完了」で表現されています。

口語としては「ウェルダン!」って「よく出来ました!」的な褒め言葉でもありますが、こと、料理に関しては実はあまり褒められないのです。

「行き過ぎた」や「焼きすぎ」的な表現として捉えられています。

フランス語では「bien-cuit(ビアン・キュイ)」となりますが、こちらも「bien」は「良く」で「cuit」は「焼けた」のこと。

やはり「よく焼き」「焼きすぎ」的な表現でしょうか。

そしてフレンチでもコックさんはあまり喜ばないケースが多いのです。

なぜ喜ばないのか?肉汁を肉の繊維の中に閉じ込めるコックさんはそのお肉を「一番美味しく食べられる状態」に焼きたいのです。

表面を香ばしく焼き、しっかりと休ませ、内部で暴れ回っている肉汁を、もう一度お肉の繊維の中に閉じ込めたいのです。

余すことなく肉汁を旨味に変え、みずみずしくジューシーな状態を味わってもらいたい。

素材のポテンシャルを引き出す使命があるのです。

「ビアンキュイ」は調理時間が長いため脂質が完全に溶け落ちてしまいます。

中心部の温度が65°以上になると血液中のタンパク質が凝固してしまい赤身もなくなります。

もはや肉汁を感じることはありません。

食感はパサつき旨味も弱くなります。

ですから、キッチンで見習中も練習で1.お肉を焼きます。

2.寝かします。

3.切ります。

4.そしてシェフのチェックが入ります。

その時点で赤身がなくなり中まで焼き過ぎてしまっていると「入っちゃてんじゃねーか!」と怒られるわけです。

逆にここで肉汁を「ドバッ!」と出してしまったり、生焼けの断面を晒すことになると「寝かしが足りん!」とか「若いだろ!」と言われちゃいます。

ジュスト・キュイ!が最高の言葉焼き過ぎはパサパサで旨味を変質させてしまい、若過ぎは生焼けでグニャグニャと噛みづらい。

いずれも美味しくありません。

若ければ「レア」ってわけではないところが面白いところなんですが、初めのうちは切らなきゃわからないので難しいところなのです。

慣れてくると軽く押した時の弾力でわかるようになってくるのですが。

他には仔羊や鴨などに対して「saignant(セニャン)からàpoint(アポワン)」の帯域の火入れを「rose(ロゼ)」という表現を使ったりもします。

しっとりとピンク色のセクシーな焼き加減。

見た目も口当たりも色っぽいのです。

火入れはいずれもこの辺がベストだなと思います。

肉汁と繊維を存分に楽しめる「火入れ=cuit(キュイ)」短縮系は「cuit(キュイ)」ですが、原型は「cuisson(キュイソン)」です。

そして「justecuit!(ジュスト・キュイ)」という表現があります。

これはまさに「ジャストな火加減」を指し、申し分ない状態。

この仕事は料理人にとって最高の使命であり、その言葉は最高の褒め言葉です。

普段は厳しい料理長に言われたり、食通のお客様から言われたり。

ちょっとドヤ顔でにやけてしまいます。

最高に嬉しい瞬間。

さてさて「焼き加減はいかがなさいますか?」今日は前回のコラムでご紹介した「ペルシヤード」を使ってお肉の香草パン粉焼を作ってみたいと思います。

ここまで散々焼き方をご紹介しておいて「なんだよ!ビーフステーキじゃないのかよ?!」ってお声もあちらこちらから聞こえてきますが、ステーキは焼くだけなので「これはこんな火入れです」などと切り口を見せまくっても説明的でなんですし、頭から尻尾までキュイソンの話では、書く方も読む方もきっと飽きてしまいますから。

ステーキはまたいずれ「ガルニチュール編」や「盛り付けのポイント編」「ソース編」などでバチッと焼いて、サクッと切って断面を晒して行きたいと思います。

それと前回のペルシヤードがハンドブレンダーで「回しただけ」ですので、こちらもそのままでは「おい!回しただけかよ!」となってしまいますので、お料理に使っていかないとですしね。

豚ヒレ肉で「超簡単で見栄えのする料理」今日はひとまず「豚ヒレ肉」を香草パン粉焼きに。

レストランでよく見かける「仔羊肉の香草パン粉焼」も定番で美味しいのですが、仔羊はお肉に独特の香りがあるので好き嫌いもありそうですし、今回は割と価格も抑えめでスーパーでも手に入りやすい「豚ヒレ肉」を使います。

ご家庭では「ヒレカツ」や「ポークピカタ」などで使用するイメージはありますが、それ以外にはあまり使わないのではないでしょうか。

下焼きして、香草パン粉を乗せて、オーブンで焼くだけの「超簡単で見栄えのする」お料理なので、あなたの【簡単リッチ飯】にオンリストしていただければ、新たな武器をゲットとなるわけです。

付け合わせは、第一回で作りました「ガルニチュール・ブルギニヨン」にジャガイモをカリッと焼いたものを組み合わせてボリュームを出しました。

ソースは香草パン粉焼きに定番の「ソース・ムータルド」を、と思いましたが古典フレンチのマスタードソースなので、そのまま作るとお子様にはちょっとパンチが強そうです。

馴染みやすい「ハニーマスタードソース」にアレンジして合わせます。

それでは早速作っていきましょう。

■豚ヒレの香草パン粉焼き ハニーマスタードソース調理時間 35分(下準備15分、調理20分)レシピ制作:佐藤尊紀<材料 2人分> 豚ヒレ肉 250g 塩コショウ 適量 ディジョンマスタード 適量 ペルシヤード(香草パン粉) 適量 サラダ油 大さじ1 ジャガイモ(小) 4個 塩(ジャガイモをゆでる用) 水1Lに対して10g 玉ネギ(小:外側) 2/3個 マッシュルーム(大小合わせて) 8個 ベーコン(ブロック) 100g バター(有塩) 25g 塩コショウ 適量 ニンニク(みじん切り) 少々 ハチミツ 30g ディジョンマスタード 25g 白ワイン(または料理酒) 50g 水 50g 固形スープの素(コンソメ) 1個 バター(有塩) 25g(※)ペルシヤードの作り方はこちら↓をご参照ください。

https://erecipe.woman.excite.co.jp/detail/a646bec529e99a8e489f1254599dda3e.html【下準備】ガルニチュール・ブルギニヨン(付け合せ)とジャガイモ・まずは小ジャガイモから。

茹でている間にその他の材料を仕込みましょう。

「ご機嫌タッパー」に下茹でしたものがあると便利ですよ。

その際はどの食材から仕込んでもよろしいかと思います。

新たに仕込む際は、皮付きのまま土を洗い落とし多めの水で茹で上げます。

塩をしますがパスタの茹で湯くらいの濃度にします。

お水1Lに対してお塩10gを。

10分から15分ほどで茹で上がると思います。

竹串を刺してみてスッと通ると中心まで茹で上がっています。

皮付きのまま茹でるメリットを過去の記事「ブランダード風マカロニグラタン」で解説していますので詳しくはそちらをご覧くださいね。

茹で上がったら少し冷めるのを待ち皮を剥きます。

表面の水分が蒸発したくらいが目安です。

茹でた直後は熱すぎて危険なのと、乾いた皮の方がパリッとして少し剥き易くなります。

とはいえかなり熱いので火傷にはご注意くださいね。

剥けた芋を半分にカットします。

・玉ネギ。

いつもの佐藤の処理法と使用法です。

今回も火の入り方、食感、見栄え、を考慮して、ソテーには外側を使います。

変態ソムリエの玉ネギ処理法。

中心部を除くと使用料は約2/3程でしょうか。

片方を5等分くらいの「くし切り」にします。

・続いてマッシュルーム。

大小様々ですが計8個ほど。

石付きや土を取り除き、小さいものは1/2に大きなものは1/4にしてください。

・ブロックベーコンを1cmの厚さでスライスすると1枚が約25gほどです。

それを4枚ご用意ください。

水分があると油が跳ねますのでペーパータオルなどで水気を切りましょう。

そしてそれぞれを1cmの厚さのバトン状にカットします。

1枚を4等分くらいのイメージでしょうか。

【下準備】豚ヒレの香草パン粉焼き・豚ヒレ肉はスライスではなく、なるべく一本物で太い物を選びましょう。

さらに全体の太さが均一な状態が好ましいです。

たとえばヒレカツにするのであれば、細かくポーションして軽く叩いてしまうので、多少は端が細くてもそれほど問題ないのですが、焼きの場合は太さの違いがキュイソンに影響します。

一部がビアンキュイで一部がロゼ、とういうことになりかねません。

それでは美味しいお肉の焼き方としてはイマイチです。

なるべく均一で太いものを選んでください。

「ジュスト・キュイ」への道ポイントその1です。

焼き始める30分から1時間前には冷蔵庫から出し、常温に戻しておきましょう。

夏なら30分、冬なら1時間というところでしょうか。

お肉の中心部まで常温に戻してあげることで「ジュスト・キュイ」が可能になります。

綺麗な赤身を残せます。

これ結構大事なポイントその2です。

ヒレ肉に関していえば、これは牛でも豚でも同じなのですが片方が太くて、片方が細くなっています。

因みに牛ではそのヒレ肉を5分割して前から2番目の部位を「シャトーブリアン」と呼び、一体の牛肉の中で最良の部位としています。

赤身でありながら程よく刺しが入り、さっぱりとしていてとにかく柔らかいお肉です。

きっと皆さん大好きですよね?もちろん少量の希少部位なので良いお値段がするのですが。

フランス語では「フィレ」、英語圏では「テンダーロイン」と言います。

ステーキ屋さんで聞いたことがあるかもしれませんね。

実は太い方が頭側で細い方がしっぽ側です。

前から「テート/シャトーブリアン/フィレ/トゥルヌド/フィレミニョン」となります。

骨盤の内側にある部位で一番運動しない筋肉なので赤身なのに柔らかいのですね。

あぁシャトーブリアン食べたい…。

【作り方】ハニーマスタードソース全ての材料を小鍋に入れ、撹拌しながら中火程度で一煮立ちさせます。

コンソメとディジョンマスタードが溶けて混ざり合ったらひとまずOK。

他の調理が完了し、盛り付けの直前にもう一度温め直して「ブールモンテ」したら完成です。

「ブールモンテ」とは?「monter(モンテ)」とはフランス語で「乳化」のこと。

ブール(beurre)はバターのこと。

すなわちバターで乳化させることをいいます。

バターの油分とソースの水分が乳化し、バター内のカゼインタンパク質が熱で固まり濃度を出します。

冷たいバターの方がゆっくり乳化しますので直前に冷蔵庫から出して。

滑らかさと艶を出す効果もあります。

またバターや生クリームなどは直前に合わせた方が柔らかいミルクの香りを豊かに感じられますので、このタイミングは美味しさのポイントです。

【作り方】豚ヒレの香草パン粉焼き1.さあ、お肉を焼いていきますよ!フライパンを中火に掛けます。

フライパンが温まるまでにお肉に下味をつけていきます。

まずお肉の水分をしっかりと拭き取りましょう。

常温に戻すために冷蔵庫から出したお肉は、温度差により汗をかいたり肉汁が出たりしています。

「ドリップ」と呼ばれるこの肉汁は「アセゾネ」(塩コショウ)した下味をお肉に染み込ませるバリアになってしまったり、焼いた時に生臭さを残してしまったり、焼き油を跳ねさせたり、とマイナス要素が多いです。

ペーパータオルなどでしっかり水分を拭き取り、「気持ち多めにアセゾネ」(塩コショウで下味)してください。

2.フライパンからほのかに煙が出ていたら準備完了。

サラダ油を引きます。

少し多いかな?というくらいのオイルがベストです。

常温に戻したとはいえ、お肉はフライパンの温度を下げてしまいます。

その時に多めの油があるからこそ、お肉を乗せた瞬間の温度を下げることなく焼き上げることができるのです。

多めの油はポイントその3です。

3.油を引いたフライパンにお肉をそっと乗せます。

油が多めなのでくれぐれも跳ねないようにそっとです。

早速お肉の焼けるいい音が聞こえてきます。

じっと動かさずに1分待ちます。

おそらく香ばしい香りが立ち始めたことでしょう。

1分後に反転させてください。

どうですか?ほどよくキツネ色になっているでしょうか?裏面も1分焼いてください。

4.両面焼いたところでお肉が丸く円柱状に膨らんできましたか?焼き目のついていない箇所を下にして満遍なく焼き色をつけましょう。

全面がこんがり焼けたところで「リソレ」(肉の表面に焼き色を付けることをそう呼びます)完了です。

アセゾネで使ったバットに戻します。

5.ここで「ペルシヤード」(香草パン粉)の接着剤としてディジョンマスタードを塗ります。

まんべんなく塗ります。

そして「ペルシヤード」(香草パン粉)をまぶして160°のオーブンへ。

ここまでが約5分。

ここから10分で完成です。

その間に「ガルニチュール」を作りましょう。

【作り方】ガルニチュール・ブルギニヨンとジャガイモ1.お肉を焼いたフライパンをそのまま使います。

鍋底の旨味は生かし、洗い物は減らします。

お肉がオーブンに入っている10分間で仕上げます。

まずベーコンを弱火でじっくり炒めて脂を出して行きます。

2.このベーコンの脂で玉ネギをほぐしながらソテーします。

3.玉ネギがしんなりして透き通ってきたらマッシュルーム投入。

最後に残った旨味たっぷりの脂をもれなく吸わせます。

4.ひとまずここまでで「ガルニチュール・ブルギニヨン」完成です。

ジャガイモをソテーした後でもう一度フライパンで混ぜますので、マッシュルームに火が入っていないくらいで良いでしょう。

材料を乗せていたバットにあげてください。

この辺りで約10分かと。

オーブントースターの扉を開けてペルシヤードの焼き加減を観察しつつ、庫内の熱を一旦放出させほんのり暖かい環境を作ります。

ここから大切な「お寝かしタイム」です。

お肉は取り出さずもう一度扉を閉めて休ませます。

肉汁を寝かしお肉に閉じ込めます。

大切なポイントその4です。

5.同じフライパンにバターを落とし、ジャガイモの断面を下にして並べます。

バターが溶けて泡立ってきたら、フライパンをゆすり満遍なくバターを回します。

焼くこと1分。

裏返してみてコンガリ色づいていたら反対の面も1分ほど焼いてください。

6.ジャガイモが焼けたところで、ブルギニヨン投入。

ほどよく絡めたら、ニンニクのみじん切りをほんの少し加えて全体に馴染ませ完成。

そろそろお肉が焼き上がるので盛り付けて行きましょう。

7.ガルニチュールは高く盛り付けます。

続いて「モンテ」したソースをお皿全体に挽きます。

お肉を取り出し4等分にカットします。

さあ、劇的な瞬間です!キュイソンはどうでしょう?しっとりとロゼに仕上がっていますか?セクシーな断面を手前にしてガルニチュールの上に盛り付けて完成です。

本日はブルゴーニュのピノ・ノワールとともにあなたのお料理がその人の心を上手に焦がしますように。

■「食べる」ということ。

六本木のヴァトゥ時代に、時々ビアンキュイのオーダーが入るとシェフがよく舌打ちをしていました。

「アセゾネしてフライヤーに入れちまえっ!」的な。

まあどんな焼き方でも心を込めて美味しく焼かなければいけないのですが。

「堅焼きなら焼き切ればいいのだろ!」という意味なのでしょう。

僕らにはそんな態度を示しつつ、でもやっぱりシェフの手元はbleuでもbien-cuitでも丁寧に焼いていました。

僕らはその姿勢を見習ってきた。

豚を食べない人、動物性のものは食べない人、宗教や人種、年齢によっても、また主義においても、食に対する考え方や好みは人それぞれです。

アレルギーだってある。

「食べる」とは栄養を取るためだけの行為ではなくレストランとは食事をするためだけの場所ではない。

どちらも心を満たす行為であり場所なのだと思う。

キッチンからの景色も、ホールからの景色もそれを教えてくれた。

ブロックス時代には本当に多くの妊婦さんにお会いした。

大抵の妊婦さんは「ナマモノとお肉もよく焼いてください」とご相談を受ける。

赤いのは心配だと。

その時に決まってお話していたことは「お肉の火入れですが、赤いけれど生ではなく、しっかりと火入れして休ませてあります。

せっかくのお食事です。

硬いお肉ではなく、安全で最高の焼き加減で召し上がりませんか?」と。

レストランでのひと時もご家庭でのひと時も心のキュイソンがジュストであります様に。

■家メシを「特別な夜の一皿」に変える1本2018年ドメーヌ オドゥール=コカール ブルゴーニュコート・ドールジュヴレ・シャンベルタンとシャンボール・ミュジニーに挟まれる小さな村「モレ・サン・ドニ」の葡萄100%で造られるワインです。

グラン・クリュ(特級畑)とプルミエ・クリュ(一級畑)が小さな栽培面積の中に所狭しと存在しています。

その中でグランクリュ「クロ・ド・ラ・ロッシュ」の真向かいにドメーヌを構える生産者が「オドゥール=コカール」です。

近年高騰しているブルゴーニュのピノ・ノワールのなかでこの味わいでこの価格というのは大変驚きです。

正にそのテイストは「ジュヴレ・シャンベルタンの力強さ」と「シャンボール・ミュジニーのエレガンス」を兼ね備えているという表現そのままに、しっかりとした味わいを感じられます。

低価格帯ですとどうしても酸っぱい印象のものが多いブルゴーニュの赤ですが、このワインはスミレのような優しさとイチゴのようなフルーティさを振り撒きながら、程よいタンニンがしっかりと1本の骨格を見せてくれます。

牛肉ほどは力強くない豚ヒレ肉の肉汁とも、香草パン粉の爽やかなハーブ感ともとてもよく合うでしょう。

またソースに使用した「ディジョン・マスタード」は、このモレ・サン・ドニの畑からジュヴレ・シャンベルタンの畑を挟んだほんのわずか先にあるディジョン市の名産品です。

地域のものには地域のワインがよく合います。

なかなかジュヴレ・シャンベルタンを普段飲みはできませんが、月に一度、ちょっと贅沢して4000円前後で楽しめる最高のブルゴーニュを今回はご紹介させて頂きました。

大きめのブルゴーニュグラスでお楽しみ頂けたらと思います。

どっしり系ではない柔らかいブルゴーニュのピノ・ノワールが優しい夜を包んでくれます。

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