高橋一生が、「みんなと同じができない子ども」に悩む母の固定観念を崩す!
目次・「言われたことができない」子だったとき母はどうする?・「親がさせたいこと」と「子どもがすること」・子どもの本当にやりたいことを止めていませんか?・「どうしたらこの器が輝く?」見方を変えることの大切さ©Monet-stock.adobe.com高橋一生が主演を務める『僕らは奇跡でできている』(カンテレ/フジテレビ系)が放送中。
高橋が演じているのは、生き物の不思議に夢中で、一度集中してしまうと他のことに目が行かなくなる大学講師・相河一輝。
風変わりですが、常識や固定観念にとらわれない一輝の言動は「育児はこうでなきゃ」という使命感に縛られがちなママの心に響くものばかり。
放送を振り返りつつ、ちりばめられた育児のヒントを探ってみました。
■「言われたことができない」子だったとき母はどうする?毎回ドラマの冒頭に映し出されるのは、一輝の子ども時代。
「どうして僕は、言われたことをちゃんとできないんだろう」と悩む一輝を祖父の義高(田中泯)はいつでも肯定し、大きく包み込みます。
一方で、現代パートに登場する少年・虹一(川口和空)は、一輝と同じく動物が大好きな小学生。
一輝が出す“動物に関する課題”には嬉々として取り組みますが、学校のテスト用紙には“10点”の文字…。
そんな虹一の母親(松本若菜)は、普通であることにこだわり、虹一の好奇心からくる言動を否定します。
物語では、一輝の幼少期×虹一の現状、そしていま現在の一輝×エリート歯科医・育実(榮倉奈々)という2パターンの対比が描かれています。
現実的に考えれば、虹一の母親や育実に共感できることばかり。
それにも関わらず、彼女たちに対して「本当にそれでいいのか?」という疑問が、次々に浮かんでくることこそが、このドラマのおもしろいところです。
■「親がさせたいこと」と「子どもがすること」©olegmayorov-stock.adobe.com第2話で一輝は、「森にリスがいるエリアといないエリアがあること」について、それはなぜかと虹一に問います。
虹一が導いた答えは、リスが道を渡れないから。
そして2人は、リスのために木と木の間に橋を渡そうと考えます。
この話を聞いて、多くの人は“リスを渡らせるために橋を作る”と思うはず。
しかし一輝は、「リスに橋を渡らせたいっていうことですよね?」と問う育実に「渡るか渡らないかは、リスの自由です。
ただ、向こう側に行ける方法があるっていうことを、リスたちに見せるんです。
結果として渡ってくれたらうれしいですけど」と答えます。
育児をしていると、子どもに対して“理想”を掲げてきっちりとレールを敷いてしまいがち。
けれども、本当に親がすべきは、ゴールを決めることではなく、選択肢を与えるところまで。
そして、親がよかれと思って用意した道を子どもが進まなかったとしても、それを否定する権利はないのではないか、と考えさせられます。
■子どもの本当にやりたいことを止めていませんか?©gamelover-stock.adobe.com第3話では、ボス猿の交代があるかもしれないと、一輝と虹一が動物園に向かいます。
動物の謎探しに出かけた虹一は、閉園のアナウンスが鳴ったら猿山の前に集合することを一輝と約束していましたが、時間がきてもなかなか戻ってきません。
それでも探そうとしない一輝に育実がその理由を聞くと、一輝はハゲていた猿の話をはじめます。
見当違いな話をされたことに、育実は怒り心頭でその話を遮ってしまいます。
しかし、後に鮫島教授(小林薫)から語られたのは、動物は野生の状態に近づけることで、本能が刺激されてイキイキしてくるというものです。
ようするに、1日2回だった餌では暇な時間が増え自分の毛を抜いてハゲになってしまっていたが、1日4回にすることで野生の猿に似た環境となり、猿は毛を抜かなくなったということ。
一輝が虹一を探さなかった真意については語られていません。
ですが虹一は、遊びを止められ塾に通うように母から言われていました。
本当にやりたいことは、別にあるのに…。
子育てをしていると「あぶない」「やめたほうがいい」「それはできない」と、子どもの意志は関係なしに先回りして抑止してしまうことが多々。
でも、その行動が子どもの好奇心を狭めてしまうこともある…。
子どもが満足するまで信じて見守ることで、子どもの興味ととびきりの笑顔を引き出すことができるかもしれないのです。
■「どうしたらこの器が輝く?」見方を変えることの大切さ©chihana-stock.adobe.comここで第一話に話を戻しますが、初回冒頭で子ども時代の一輝は祖父・義高が作った陶器を壊してしまいます。
それでも義高は、怒ることをせずに「どうしたらこの器が輝くと思う?」と、一輝に優しく問いかけます。
そして一輝が導き出した活用法は、ペットのカメの住処にすることでした。
本来の使い方でなくても、目線を変えれば、あらたに輝かせることができる。
それは“型にハマることがすべてではない”という物語がもっとも伝えたいメッセージなのではないでしょうか。
虹一は、友だちの絵を描く際に自分だけ横顔を描いたことを例にあげ、いつも母親から「どうしてみんなと同じようにできないの?」と言われると嘆きます。
「僕のことをダメな子だと思ってる」と。
視聴者としては「みんなと違っていてもいいんだよ」と声をかけたくなりますが、実際に自分の子どもが虹一と同じ行動を取ったときには、虹一の母親と同じように頭を抱えてしまうかもしれない。
それが育児の難しいところです。
もちろんドラマを見ても、すぐに固定観念が捨てられるわけではありません。
虹一は一輝に、童話『うさぎとカメ』について「どうしてカメはウサギに声をかけなかったのか?」と問います。
そして一輝の出した答えは、「カメは競争には興味なくて、ただ前に進むこと自体が楽しい」として、カメは「コツコツがんばるタイプ」という固定観念を崩します。
さらには「うさぎはカメを見下すために走る」とも。
他人と仲良くなれなくても「一番仲良くなりたい自分と仲良くなれたから、それでいい」と、常識をことごとく打ち破る一輝の言葉は、「こうでなきゃいけない」と凝り固まった頭を優しくほぐしてくれます。
常識にとらわれ、子どもの一面しか見えていない私たちに、本作は「もっと広い視野で子育てをしてみませんか?」と投げかけているように思えてきます。
ドラマは第4話を迎えますが、まだまだ育児への気づきがたくさん見つかりそう。
その一つ一つを拾いながら、物語を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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