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理想の食卓のイメージ「一家団らん」について

理想の食卓「一家団らん」のイメージはどのようにしてできたのでしょうか。

日本の家族の食卓の変化を研究している表真美さんにお話をうかがいました。

表真美さん京都女子大学教授/家族関係学以前は「一家団らん」はなかった実は、日本の食卓での一家団らんは、もともと一般的ではありませんでした。

およそ130年前(明治時代)の裕福な家庭の様子が描かれている資料を見てみましょう。

「尋常小学校修身」明治25年家族そろって食事をしていますが、ひとりひとり別々のお膳で食べています。

また、食事中に話すことは行儀が悪いと考えられていたので、会話は厳禁だったそうです。

一家団らんとは、ほど遠い雰囲気だったのです。

裕福でない家族の場合も、一家団らんはなかったようです。

当時は、ほとんどの人が第一次産業(農林水産業)を仕事としていました。

家族が一緒に暮らしていても、毎日の仕事が精いっぱいで、一緒に集まって一家団らんをするような余裕はなかったと考えられます。

一家団らんが理想のイメージになるまでその後、産業が発展し、次第に家から離れた職場に通って仕事をする人が現れはじめます。

それとともに、家を預かる専業主婦も誕生したのです。

高度経済成長の時代に入ると、外で働く夫と専業主婦の妻という分担が急激に進み、食卓の様子にも大きな変化が現れました。

父親が外で働いているため、家族と一緒に過ごす時間が減り、食事のときが家族で集まる貴重な場になってきたのです。

以前は、食事中に話すことは行儀が悪いと言われていましたが、話してもよいという風潮になり、家族が団らんして食事をするようになっていきます。

さらに、ホームドラマやアニメの影響もあり、楽しい一家団らんが理想のイメージになっていったのです。

そして多くの主婦たちは「一家団らんをすべき」という思いを抱くようになっていきました。

現代の食卓の姿現代では、ライフスタイルの変化と共に、一家団らんの姿も変わってきています。

例えば、長時間労働や、子どもの塾通いなどの影響で、家族の食事の時間がそろわなくなっているのです。

「一家団らんをしなければならない」と思いつめずに、それぞれの家族なりの団らんの姿を模索するとよいのではないでしょうか。

我が家で無理なく楽しめる一家団らんの方法を考えてみましょう。

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