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築50年の山小屋の修繕に10年間で使った総額は?【なんでも大家日記@世田谷】

前回と前々回、格安別荘について書きました。

すでに長年自然の厳しさにさらされてきた築古別荘は、とにかく修繕や維持や改善にお金が出て行くもの。

山の家の周辺。

自然が豊かなのはいいのですが……今回は、筆者がセカンドハウス的に利用している築50年以上の山の家(祖父が東京のはずれの山奥に所有していた小屋)で、ここ10年間でおこなった修繕工事などを一覧にしてみました。

別荘や田舎への移住を検討中の方に参考になればと思います。

■2009年「シロアリ駆除と床下換気扇の設置」約98万円きっかけは地元の業者によるセールス訪問でした。

「お宅の床、シロアリに食われていませんか?」的なやつです。

最初は怪しいと思ったのですが、調べてみるとちゃんとした業者だったので、試しに無料調査をしてもらいました。

すると、床下の一部や柱がすでにシロアリに食い荒らされているという結果が!これはまずいということで駆除をお願いすることにしました。

せっかくの機会なので、かねてから気になっていた部屋の湿気について相談したところ、床下に調湿材を敷き、換気扇を設置することになりました。

中段左:調湿材/中段右:換気扇調湿材は、湿気があるときはそれを吸い込み、まわりが乾いてくると吐き出す仕組みで、文字通り「湿度を調整」してくれます。

換気扇はタイマー式で日中のみ作動し、床下の空気を入れ替えてくれます。

シロアリ駆除と同時に防カビ剤の散布もおこなってもらい、部屋の体感湿度はだいぶ下がりました。

かなりの出費でしたが、数十年なにもしなかったツケを払ったと思い、納得していたのですが……。

■2011年「ハクビシン駆除」約15万円2年後、屋根裏からネズミにしては大きすぎる足音が聞こえるようになり、さすがに心配になって業者に調査を依頼しました。

その結果、屋根裏にいつのまにかハクビシンが住みついていたことが発覚(!)。

当時、すでに築40年を過ぎていた山の家には経年劣化であちこちにスキマや穴があり、ハクビシンの出入り口になってしまったようです。

黒っぽく見えるのが、穴が開いた部分この穴をはじめ、野生動物が入りこみそうな穴を金網でふさいでもらいました。

この頃は「まあ、このていどの出費はしかたないな」と思う余裕がありました。

■2011年「足場を組んで屋根の修繕と外壁塗装」約77万円ところが、ハクビシン駆除の数週間後、今度は居間の天井からポタリポタリと雨音が。

前回もお話しした雨漏りが、ついに我が家にも発生したのです。

あわてて業者さんを呼んで、屋根を見てもらうことに。

すると、毎年の冬の寒さの影響もあり、屋根の瓦がかなり傷んでいるとのこと。

スレート屋根とちがい、瓦屋根は補修にお金がかかりますが、雨漏りを放置するわけにもいきません。

どうせ足場を組むのならということで外壁を塗り直すことを決意しました。

思えば、この家が建てられてから40余年、初めての外壁修繕でした。

補修後の屋根2009年の床下の修繕に続けてこの出費、痛すぎます。

■2015年「離れの床の補強工事」約9万円それから4年間は、平穏に時が過ぎていったのですが、思わぬ場所でトラブルが起きました。

山の家には祖父が建てた離れの書庫があり、その床が抜けてしまったのです。

母屋の修繕で手一杯で、離れはずっと放っておいたのが仇となりました。

このままでは中の蔵書ごと建物を取り壊すはめになるので、業者さんにお願いして床下に応急処置を施してもらうことに。

蔵書を運び出すための応急処置急きょ、古本屋さんを呼び、蔵書を運び出して買い取ってもらいました。

もともと大した価値のない本が湿度によるダメージを受けていたせいで、買取り金額は出張費用と差し引きゼロ。

床の工事費を考えると赤字。

本が無駄にならなかったのは良かったですが、書庫ごと壊して処分したほうが経済的には正解だったかもしれないと思うと、正直、複雑な気持ちです。

あくまで応急処置だったので大きな額ではありませんが、こういう出費も別荘を管理する上ではジワジワと効いてきます。

■2016年「シロアリ防除剤・防カビ剤の散布」約32万円翌年、2009年にシロアリ駆除を依頼した業者から連絡がありました。

床下を調査してもらった結果、シロアリは再発生していないそうで一安心。

しかし、シロアリ防除と防カビ剤の保証期限である5年が過ぎ、すでに7年目。

再度、薬品を散布することをすすめられました。

せっかく外壁まで直して、また中身をシロアリにやられては元も子もありません。

結局、シロアリ防除と防カビ剤の散布をお願いしました。

しかし、定期的にこの出費はツライですね……。

■2018年「水道管と水栓の修理」約24万円(と、その先の出費も)そして、2018年の2月。

数十年に一度の寒波の影響で、水道管が凍結し破裂してしまいました。

これについては、別の回に詳しく書きますので省略しますが、水栓はすべて故障し、取り換えと水道管の修理におよそ24万円がかかりました。

かなり痛い出費なうえに、これで終わりではないのがさらに困ったところ。

水があふれでて床が水浸しになってしまったせいで、もともと湿度の高い環境でカビなどの影響を受けて弱っていた廊下の床材が致命的なダメージを受けてしまったのです。

ごらんのように木の繊維がほどけたような状態になってしまっており、このままこの上を歩き続けると、いずれ床が抜けてしまうかもしれません。

おそらく、今年の秋か来年には補強をおこなう必要があるでしょう。

また出費がかさむ……そう考えると本当に憂鬱です。

■10年間でかかった修繕費総額は250万円オーバー!結局、ここ10年の修繕費総額はなんと2,545,875円にものぼりました。

あらためて振り返ると、自分でも驚きの金額です。

yamahide/PIXTA(ピクスタ)クルマなら新車が一台、マンションなら一室フルリノベーションできてしまいます……。

しかも、どの工事も利便性やデザイン性を上げるような工事ではなく、現状の住み心地を維持するための工事なので、はっきり言って、お金をかけた実感や満足感はありません。

言い換えれば、ふつうの暮らしを維持するのにも、これだけお金がかかったということです。

前回の原稿では「別荘が150万円で手に入る」なんて気軽に書きましたが、築古の別荘を買って維持するには多額の費用がかかる可能性があることも覚悟してください。

それでもこの山小屋を維持しているのは、休みに静かな山奥で過ごせるという時間に価値があると思っているからこそ。

ああ、修繕費や維持費を払わずに別荘で過ごせたらいいなあ……。

とぼんやり考えていて、ひらめきました。

山の家の離れをリノベーションして、マンションの入居者のみなさんが使えるセカンドハウスにしたら面白いのでは?次回は、「別荘つき賃貸」というアイデアについて書きます。

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