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「業績と働き方はゼロサムの関係ではない」ファミマの社長が本気のダイバシティー推進

目次・いまの等身大の姿をありのままに・本社を見ると完全な男社会・「お惣菜は別のチェーンで買っている」という女性社員・業績と働き方はゼロサムの関係ではない女性社員比率が約13%と、ダイバーシティ推進に出遅れているという自覚のもと、2017年に発足されたファミリーマートのダイバーシティ推進室。

2018年5月末、ファミリーマート本社(東京都豊島区)で開かれた澤田社長と社員たちによる座談会がマスコミ各社に公開されました。

その真意を、澤田社長に直接聞きました。

いまの等身大の姿をありのままに——今回、社内の座談会をメディアにも公開した意図は何だったのでしょうか。

澤田:この会は、現場の社員からの提案だったのですが、いまのファミリーマートの等身大の姿と、これから向かっていく方向性を社内だけでなく広く知っていただければと考えました。

——2017年がダイバーシティ推進元年とのこと。

社会の流れとしては出遅れ感があると思うのですが、その状態で公開することに対して抵抗などはありませんでしたか。

澤田:間違いなく出遅れましたね(笑)。

でも、一番大切なのは、変わるために、動き出そうとしている現在のファミリーマートの姿を、きちんとご理解いただくことだと思っています。

世間に良く見せようとして、できてもいないことを誇張したりする方がずっとリスクですよね。

今の立ち位置を素直に認めて、巻き返しに向けて努力していることを誠実に伝えていく。

それはとてもシンプルなことだと思います。

本社を見ると完全な男社会——澤田さんの世代の方々は、奥さんが専業主婦で子育てを担い、自身はガンガン働いていたという方が多いように思います。

そんな環境の中にずっと身を置いていた澤田さんがそこまで意識を変えられたのは?澤田:世代がどうというより、社会の流れがそうなっているということを認めないといけないですよね。

ファミリーマートの店舗のお客様にしても女性の方が増えています。

お客様だけでなく、とっくに現場のお店では、性別だけでなく国籍もはるかに多様化しています。

それなのに、本社を見ると完全な男社会。

決して男性が悪いというのではなく、同質な人間だけで、いろいろなことが決められていくという体制に危機感を覚えました。

また、メディアの各種のアナライズやランキングなんかを見ても、うちが遅れているのが明らかです。

その実態を知ってしまったら気合を入れてやるしかないですよね(笑)。

「お惣菜は別のチェーンで買っている」という女性社員——具体的に、まずいことになったなと思うことはありますか?澤田:具体的な問題が顕在化しているというより、女性じゃないとわからないことがたくさんあるということは感じます。

妊娠や出産は、僕たち男性は絶対に経験できないことです。

だから、その人たちに活躍してもらおうと思ったら、当事者の声を聞かないわけにはいかない。

先日ある社内会議の中で、育児中の女性社員が「お惣菜は別のチェーンのお店で買っている」と言うんですよ。

どうしてか聞いたら、彼女の自宅の周辺ではそのチェーンのお店のほうがファミリーマートの店舗よりも、確実に品数が充実しているということでした。

育児と仕事で時間が限られた中では、何軒もお店を回れません。

彼女はこの発言をするのにすごく勇気がいったと思うのですが、そういう声こそがリアルなデータです。

だからこそもっと自然に発言できる環境にしていく必要があるなと感じました。

弱いところを突かれるのは耳が痛くもありますが、自分たちのダメなところにこそ勇気を出して目を向けて、課題を改善していこうとしない限り、会社の成長は止まると思うんです。

そういう持続的成長を可能にする体制を、いろんなバックグランドを持った仲間たちと共に実現していきたいと考えています。

——そもそも女性比率が1割強と少なかった理由はなんだったのでしょう。

澤田:当社の歴史を振り返ると、7年間に大きな経営統合を3回行うなど規模の拡大を追求してきました。

ある程度の規模がないと競争を勝ち抜くための経営が成り立たないですし、それ自体は間違っていなかったと思います。

そのために短期で成し遂げなくてはならないチカラ仕事もかなりありましたし、男性のほうが、より結果にコミットできたという事実は、正直あったのではないでしょうか。

でも、今、われわれは規模の追求ではなく、質を重視するという方向に大きく舵を切っています。

立地や設備、商品やサービス、接客に至るまで店舗におけるすべての質を向上させることで、もっともっとお客さまに喜んでいただけるチェーンになると決めた。

そのためには、もっと多様な人間の価値観で会社を動かす必要がありますし、現状の当社の社員に占める女性比率はやはりおかしいなと気づくわけです。

それが今回の取り組みにつながっています。

業績と働き方はゼロサムの関係ではない——ダイバーシティを推進と業績のつながりはどのように考えていますか?澤田:もちろん生産性を上げて、業績につなげるというのは大前提です。

一方で、業績アップと働き方改革はゼロサムの関係ではなくて、両輪で取り組むべき課題として考えています。

社員が働きがいのある環境を作ることは経営者の義務です。

数字が少し悪くなると「ダイバーシティなんてやっている場合か!」と変な議論になりがちですが、そこは決してぶれずにやり抜きます。

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