精神障害者の兄に人生を捧げた両親…その姿を見てきた妹の苦しみ#21
“私の兄は、障害者”。
見て見ぬ振りして、直視できない現実を避けるように生きてきた、妹目線の連載です。
年齢を重ねるほど、素直な恋愛ができなくなっていった私——。
「婚活」という言葉を知りながらも、結婚に対して前向きになれませんでした。
文・心音(ここね)【兄は障害者】vol.21家庭を持つ責任と、結婚の重み目次・家庭を持つ責任と、結婚の重み・本当に、一生寄り添えるパートナーって?・男性を避け、「女性専用」を選ぶほどだった・心の奥に入ってきた、たった一人の男性結婚することが女性の幸せである、好きな男性と結ばれて出産し子育てをすることが素晴らしい……。
友人の結婚式に出席したり、子ども連れの夫婦を見たりすると、“幸せ”なのは頭で理解できるけれど、いざ自分に置き換えてみると一歩踏み出せない。
どこか他人ごととして遠くから眺めている状態が、アラサー近くになっても続いていました。
その理由は、小さい頃から繰り広げられていた、“荒れた家庭”が目に焼き付いているからです。
高校を退学した兄の担任の先生に深く頭を下げる両親、夜中に帰ってきて騒ぎ立てる兄、精神障害者となった兄に安定剤を飲ませるためにタイマーをかけている母、仕事で疲れているのに休日は兄の病院の送り迎えをする父——。
兄のことが疎ましいわけではなく、大事な家族のひとりだと思っています。
でも、それらの光景は、私にとって良いイメージではありません。
表立っていないだけで、家庭環境に苦労している家族も多いかもしれませんが、私が小学生、中学生だった幼い頃の我が家はとにかく悲惨でした。
大人になった今は、自分の家庭は少しだけ稀だっただけ。
そう、解釈できているのですが……。
本当に、一生寄り添えるパートナーって?私は、両親をとても尊敬しています。
元気な自分を保つことができたのは、両親がいつも力を合わせて家庭を守ろうとしていたからでした。
もし、あの幼い時に、両親の意見が合わずに離婚していたら、もっと自分の居場所を無くしていたと思いますが、両親はいつも前向きでした。
「心音は自分の人生を明るく生きなさい。
お兄ちゃんは、お母さんとお父さんの子どもです。
何を言われても、怖くなんかないよ。
だってお母さんのお腹から出てきたんだから」と、私が想像しているよりも大きな愛で兄を育てていました。
そんな両親を見ていると、果たして自分にそんな責任を負えるのか?何があっても、一緒に助け合えるパートナーが見つかるのかと不安ばかり募ります。
学生の時のように、自然体でありのまま恋愛できれば良いのですが、年齢を重ねるほど“傷つきたくない”気持ちが大きく膨らんでいくばかりだったのです。
また、「できちゃった婚」のように、もし、予想しないタイミングで子どもができたらどうやって責任をとったら良いのかわからない、一生のパートナーと確信していない人とは絶対に子どもは作れない。
家庭や出産に対して、“幸せ”のイメージより先に“恐れ”が先行している状態に、世間とのズレを自分でも感じていました。
男性を避け、「女性専用」を選ぶほどだった大人の恋愛になれば、学生の頃とは違い、明確な告白がなくても良い雰囲気になって関係をスタートすることもあると思います。
しかし、曖昧にスタートさせようとする男性に対して、どこまで本気なのか試したり、わざと怒らせるようなことを言ったりして「石橋を叩いて渡る」領域を超えて、叩きすぎて壊してしまうことも多々ありました。
そんな、“疲れる恋愛”しかしていなかった私は、「恋愛はめんどくさいし、疲れるだけ」「そんなことなら自分の時間を大切に過ごしていたほうがいい」と深く恋愛をすることを忘れていったのです。
両親からも、「心音は、結婚しないかもしれないね」「正解はないから、自由に生きなさい」と私の心情を知ってか知らずか、結婚をすすめることはありませんでした。
恋愛に対してひねくれていた私は、男性が言い寄ってきても、「どうせまたこの人もすぐにいなくなる」「好きって言うけど、本当は一瞬だけでしょ?」と勝手に不信感をもって斜めから見ていた気がします。
女子大を卒業した後は、気づけば男性がどんどん苦手になっていました。
電車やバス、ジムなどはなるべく「女性専用」を選んだり、休日も女友だちと過ごすことが多かったり。
または、本当は嬉しいはずなのに、デートで男性に荷物をもってもらうことすら抵抗がありましたし、帰りも家まで送っていくと言われても、「大丈夫、ひとりで帰れるから」と突き放すこともあったのです。
私のプライベートを知る親しい人からは、「心音ちゃんって、もしかして男性嫌い?」と核心をついた質問をされることもありました。
“嫌いではないけれど、避けてしまう”自分でも分からないこの男性への接し方は、答えがあるなら教えてほしいと願うばかりでした。
心の奥に入ってきた、たった一人の男性そんな男性への不信が強くなるアラサー手前のこと。
出会ってすぐに、好意を示してくれた男性がいました。
「彼氏はいないの?」「このままずっと一緒にいたい」と。
軽い気持ちで声をかけてくるだけの男性に違いないと思った私は、冷たくあしらって社交辞令ですませていました。
この人も、きっとすぐにいなくなるだろう。
「好き」と簡単に言ってくる男性が信用できなかったので「彼氏はいないけど、もう恋愛をするつもりはない」とまで言って、突き放していた矢先——。
なんとその男性は、彼氏彼女を飛び越えて「君を妻にしたい」とプロポーズしてきたのです。
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