実は「彼女に飽きた」という発想はない。男にとって「彼女」ってどんな存在?
「彼氏に飽きたから別れた」という女子の発言は、わりとよく聞くのだけれど、でも男子が「彼女に飽きた」と言っているのはあまり聞かないのですが、みなさんは彼氏に飽きられた経験ってありますか?あると答える人もいるはずだけど、でもじつは彼はあなたに飽きたのではなくて、「おれの人生を支えてくれる人ではないな」と悟ったのです。
writer:ひとみしょう■「夜会って、朝バイバイ」を望んでいるのが男女子は、恋愛を語るときに人生という言葉を持ち出してこない人のほうが多いはずです。
人生ではなくて、キラキラしたとか、ラブラブな、とか、そういう言葉でもって恋愛を語りますよね。
男子は、なにも重たい意味をこめて人生という言葉を若くして使っているわけではなく、単純に「自分の人生を支えてくれる1つのパーツ=恋愛=彼女の存在」ととらえているところがあります。
たとえば彼女がデートでパンケーキ屋さんに行きたいと言うときって、そこにはキラキラしたことを彼氏と一緒にしたいという願望が含まれているけれど、彼氏が彼女に対してキラキラしたことを一緒にしたいと望むことって、あまりないでしょ?彼はおうちでデートするとか、夜ごはんのときに彼女と会って朝まで一緒に過ごすとか、むしろそういうことを望んでいるでしょ?で、それに対して「会えばいつもエッチってどういうことよ?」と彼女が怒ったり嘆いたりするわけでしょ?彼は「会えばエッチ」と思っているというより、一緒に夕飯を食べて、一緒に寝て、エッチするということにこそ「生きている実感」を見出しているのです。
だから「夜会って、朝バイバイ」を望んでいるのです。
■男子にとって、彼女に飽きるという発想がないそのような男子にとって、彼女に飽きるという発想そのものがないのです。
食事をすることとか、寝ること、エッチをすることに、根本的に飽きる人はいないから。
もし飽きたとしても、たとえばシチュエーションを変えるなどの工夫をして、食べる・寝る・エッチするという行為を引き続きやっていかないと死んでしまうわけだから、根本的に飽きるということはない。
単純に、食べる・寝る・エッチするという生(人生)に関することを共にするパートナーとして、彼女はふさわしくないと判断した――これをそのまま言うと、生とか人生とか、女子にとって重たい言葉を口にすることになるし、それは男子にとって恥ずかしいことだから、彼はシンプルに「飽きたから別れよう」と言うのです。
■男女の恋愛観のちがいに隠されているもの女子の「彼氏に飽きた」という言葉は、だから、男子にとってすごく理解しやすいんです。
つまり、「彼はわたしのことを楽しませてくれなくなった」とか、「彼と一緒にいてもキラキラできない」とか、そういう気持ちになれば、「彼に飽きた」と言う、その女子の心情って、わりと理解しやすいのです。
でも男子はそういう文脈で「飽きた」とは言わないんですね。
人生とか生とかという、漠然としたものを共にするパートナーにふさわしくないと判断したというのを、ありふれた「飽きた」という言葉で隠しているんですよね。
こういう男女の恋愛観のちがいは、そのベースに何が隠されているのかといえば、若くして自分の人生を自分の手で切り開いていかないと未来がないと焦っている男子と、まだそれをするまでに時間的な余裕があるから、少しばかりキラキラした恋愛を――つまり人生のオプションを楽しみたいという女子の気持ち――こういう違いがあります。
女子から見て、かなりダサく見える男子であっても、はたまたエロのことにしか興味がなさそうな男子であっても、男たるもの全員、自分の人生を自分でどうにかしないといけないと焦っています。
だから彼は恋愛にキラキラではなく、人生を重ね合わせているのです。
だから彼が言う「彼女に飽きた」は、「おれの人生を支えてくれるパートナーではない」という意味をもっているのです。
(ひとみしょう/作家)『今夜はちょっと、恋の話をしよう』(ハウコレ編集部)